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始めて2ヶ月での成果
初めてのカジノで初めての勝利を味わった僕は、そのたった1日でバカラの虜になっていました。
いや、正確に言うと、プロの手法「シーカーズベット」の魅力に惹かれていたのです。
僕は子供の頃から手品の類が大好きで、本気でマジシャンを目指したこともあり、とにかく不思議な現象に目がありませんでした。
その手品の種明かしこそしてもらえませんでしたが、僕はその日以来、毎日のようにH氏とバカラ屋に通うようになったのです。
僕はH氏と同じ方に同じだけ賭けるだけのただの腰巾着でした。ですがH氏は少しも嫌な顔をせず、僕に半分勝たせてくれます。
ただ、彼はあまり社交的な性格ではなかったため、バカラ屋では結構浮いた存在だったのです。生来、人見知りを全くしない性格の僕とは正反対です。
誰とでもすぐに仲良くなれた僕は、それこそ普段であれば絶対に口も聞かないような強面のおじさんや、競馬のジョッキーとも気さくに話せてました。
H氏にとって僕は「潤滑油」のような役割になったのかもしれません。
僕がいることによって、彼は明らかに前より周りの人間と仲良くなっていきましたからw
さて。何日も同行していて、ひとつ気になったことがあります。
それは「シーカーズベットでも負けるゲームがある」ということです。
それを食らった時はまあ酷いもので、なまじそのポイントに全力投入するものですから、負ける時はワンベットで10万円以上が吹き飛んでしまいます。
答え(カラクリ)を知ってるH氏はそういう展開になってもさほど驚いてませんが、全く事情を知らない腰巾着の立場としてはもう気が気じゃありません💦
そんな「負けゲーム」が来たとき、H氏は次のゲームで、さっき負けた金額をもう一度賭けます。そこで勝てばいいのですが、なんとそこでもしばしば負けることもありました。そうなると、あとはマーチンゲールのようなことが始まります。
10万→20万→40万…
まさにお金の暴力を使い、無理矢理プラスに持っていくのです。
一方の僕はというと、そこまでの大金をバンバン賭けられるはずもなく、最初の一発が負けてしまうと、しばらくはゆっくり消化して、たまたまツイてた時に半分ほど戻る…といった感じです。
つまり、月間収支としては勝っていましたが、二人の収支総額は歴然とした差が出ていました。
その当時、毎日収支をつけていたノートがあって、それを見てみると、僕の収支はその月62万円でしたが、おそらくH氏は150万円以上勝っていたと思います。
ともあれ、何もせずに80万円♪
1日のバカラ屋での拘束時間は1時間程度だったので、時給にすると2.5万円以上ということになります。一流のキャバ嬢並みの時給でしょうか。
僕はそこに本業である「麻雀屋」からの売上の純利益が1日6万円程度ありましたから、収入としてはH氏より良かったのかもしれませんが…
それから2ヶ月が経ちました。
こうなってくると、いよいよ僕もバカラ屋の常連の仲間入りをしており、もはや店内で知らない顔はいない、というところまで染まっていました。
この2ヶ月で僕はいくら稼げたでしょうか?
答えは下記の通りです。
バカラ:62万円+83万円=145万円
麻雀屋:不明(1日5万円程度だったとして60日で300万円)
つまり、2ヶ月で450万円ほど稼いでいたと思います。
ただ、収支ノートには毎日の現金残高が記載されているのですが、この時点での僕の所持金は161万円と書いてあります💧
少なくないですか?w
2ヶ月で450万円稼いでるのに、手元に160万円ですよ?
でも、思い起こせば、まあそんなもんですね。妥当です。
僕とH氏は、バカラ屋を出た後、近くの居酒屋で1人5000円程度の食事代を使います。そのあと必ずクラブやラウンジに飲みに行って散財。僕は車で30分ぐらいの場所から来ていたので、飲んだ帰りはタクシー。翌日出てくる時もタクシー。
300万円ほど使っていてもなんら不思議じゃありません。
当時は歳も若かったので、調子にのったブルジョワ生活している自分をカッコいいとも思ってましたから💧
この時の「遊び」についても、なかなか面白い内容だと思いますが、本記事の内容から大きく逸れますので、いずれ別記事にて話せたら、と思いますw
ともあれ、そのときの僕は160万円が全財産でした。
パチンコプロ集団『梁山泊』
ある日、いつものように二人でバカラ屋に行くと、H氏に親しく話しかける男が現れました。
身体の線は細く、身長はスラッと高く(180cmぐらい?)、茶髪、ブラウンの色眼鏡に金ネク、濃紺スーツ。パッと見からしてヤンキーかチンピラのような出で立ちです。
H氏は彼のことをこう呼んでました。
『タツケン』
名前の上下から取ってくっつけたのだと思います。
見た目はともかく、歳は僕より少し下ぐらいでしょうか。
タツケンはとても礼儀正しく、初対面の僕にも物凄く丁寧に接してくれました。
「ベルさん、可愛い女の子のいる店見つけたんで今度一緒に飲みに行きましょう!」
「ベルさんはH君と同じ(プロ)なんですか?宜しくお願いします!」
等、とてもフレンドリーないい奴です。
H氏の知り合いだからてっきりプロ仲間なのかと思ってましたが、彼はそうじゃありませんでした。
後に知りましたが、彼は別の道のプロだったのです。
皆さんは、パチンコのプロ集団『梁山泊』という名前をご存知でしょうか?
今もあるのか分かりませんが、梁山泊はパチンコのセット打法のようなものを使ってホールを荒らす集団です。
有名な攻略法としては、
・ブラボーキングダム単発回し
自力で大当たりを引いた後、単発回し(保留ランプを点灯させない)するとずっと天国モードから抜けない=永久連チャン
・春一番ランプ攻略
液晶上部の役物を横から覗くと自分がいるモードが連チャンモードかどうか判別できる=ハイエナに有効
・モンスターハウス無限連チャン
確変大当たりさせて体感器等で狙い打ちすると無限に確変を引き続けることができる
・summy系スロットの小役コピー打法
前回揃った小役と全く同じ小役を次ゲームにコピーできる
等々、そういう本物のセット打法を世の中に出回る前に仕入れて、ホールから金を根こそぎ抜いていたプロの集団です。
タツケンはその梁山泊の末端でした。
本体(梁山泊)から数百万円するセット打法を数人で金を出し合って買い、打ち子を派遣してそれで勝ちまくる、そんなシノギをしていたそうです。
じつは僕もひとつだけ教えてもらったセット打法があります。
「吉宗」という台のチェリー落ち打法というやつだったのですが、現象としては「毎ゲームチェリーが揃う」というものです。
これ自体はたしかに凄いものなのですが、これがホールではマジで使えないw
なんせ毎ゲームチェリーが揃うわけですから、吉宗という台はチェリーが揃うと何かしらの演出が起こるので、常に僕の台だけピーヒャラピーヒャラ音が鳴り続けるのですw
もう、目立って目立って仕方ないですw
プロ集団会長との出会い
かなり話が脱線してしまいましたので戻します。
そのタツケンと知り合ったあたり、ちょうどH氏と行動するようになって2ヶ月ほど経過したある日、僕に転機が訪れました。
二人で朝まで飲み明かした後のマクドナルドでの話です。
「ベルさんに僕の手法教えますね」
と唐突にH氏が切り出しました。
「今夜、僕らの店に一緒に来てもらえますか」
と。
いや、疑問しかなかったですね。
まず「店」ってなんやねん?って話ですw
初耳でしたから。
H氏にそのへんの話を色々聞いてみた内容をまとめると、こんな感じでした。
・「店」というのは正規で営業しているビリヤードBARであること
・その店を経営してる人がシーカーズベットの発案者であること
・その経営者の呼び名は「ケイ」
・ケイはH氏の師匠であること
・シーカーズベットを知っているのは全部で5人いること
・そのプロ集団の中に僕を迎えようとしていること
この時は正直、少しビビってました。
なんせ、そんな漫画の中に出てくるような集団からお呼びがかかってて、しかもなんとなく恐いじゃないですか、そんな謎の集団みたいなの😅
なんか、名前も名字とかじゃなくて通り名だし…
そんな訳の分からない集団に一旦所属しちゃったら二度と抜け出せないような気もするし、一般人の僕にはもうその時点でキャパ超えてました💧
ともあれ夜になり、僕はH氏に連れられて「店」に行くことになりました。もうドッキドキでした。
週末だったにも関わらず、店の看板の電気は消されて「close」の文字。
僕が来るから店を閉めてるわけでしょうが、逆にそういうのやめてほしいです。死すら予感しますからw
中は薄暗いとこでした。まあ当然、営業してないのだからそんなものでしょうが…
入口からちょっと中に入るとビリヤード台が3台あり、その横に三人掛けぐらいの大きさのソファー。さらに奥にあるテーブルに、1人の人物がいました。
名乗る前にこれが「ケイ」だとすぐに分かりました。
「ケイ、久しぶりですね。ベルさん連れて来ましたよ」
とH氏。
「おー。ちょっとそのへん適当に座っててすぐ行くから」
と奥の男。
僕らはビリヤード台の横のソファーに腰掛け、男が来るのを待ちました。
5分ほどして、奥の男がこちらにやってきました。
暗くて全然見えてなかったのですが、近くまで来てようやく姿がハッキリ見えました。
その第一印象は、、、若っ!です。
H氏の師匠であり、BARの経営者であり、カジノ攻略法の発案者であり、裏プロ集団のトップというからには、そこそこのオッサンを想像してましたからね。
でも、出てきたのは僕より少し年下ぐらいの、ちょっと悪そうな感じの青年でした。
「こんばんはベルさん。H君からずっと話は聞いてます。ケイで通ってるんでベルさんもそう呼んでください」
そしてまさかの敬語にビックリです。
なんせ裏社会の首領みたいなのを想像していたため、口調は「おう。お前がベルか、まあ座れや」的なものだと思ってましたからw
ケイと僕は軽く挨拶を交わし、そのまますぐ奥の部屋へと招かれました。
部屋の中にはバカラテーブルと椅子、トランプのシューターBOX、チップ。
いつも通ってるバカラ屋と同じセットがそこにはありました。
「真ん中の席に座ってください。僕あまり時間が無いので早速やりますね」
と言って、トランプを8デック取り出し、すぐに説明を始めました。
時間にしておよそ40分程度。
シーカーズベットの正体はかなり複雑で、やってることの内容はおおよそ理解できましたが分からないことの方がたくさんあります。
しかし、一通りの説明を終えてすぐ、ケイは時間を気にしながらこう言いました。
「すいません。僕もう行かないとダメなんで、続きはH君に聞いてください。店は開けといてくれていいです。どうせ金目の物はひとつも置いてないのでw」
と爽やかに笑ってそそくさと去っていきました。
シーカーズベット体得
残された僕とH氏。
緊張の解けた僕は、聞きたいことをH氏に聞いていきます。
「で、ケイはどこ行ったの?」
「分からないですけど、多分、女のところだと思いますよw」
は?なにそれ?
今日、初めましてで、プロ集団の仲間入りで、シーカーズベット教えてもらう日だというのに、女て…
「なんで俺を迎えることになったの?」
「あー、それは麻雀です」
H氏の説明によると、ケイはとにかく大のギャンブル狂いで、バカラの他に、競馬、競艇、野球、サッカー、麻雀等あらゆる博打に手を出していました。
その色んなギャンブルの中で、麻雀だけ超がつくほど弱いらしく、それなのにレートはバカ高い。
あまりに負けが続くものだから、誰かに麻雀を教えてもらいたいと思ってた、とそんな流れだったようです。
いやもう、色々拍子抜けしたのを覚えてます。
僕からしてみれば、もの凄くくだらない理由ですから。
そんなしょーもない理由で、普通プロ集団の中に入れます?
麻雀が弱いのなら、そもそも麻雀をやらなければいいだけなのに、それでも拘ってやるのはとんでもなく負けず嫌いなのでしょうか。
女と会うのを理由に、初対面でもサクッと出ていってしまうような人だから、その時の印象としては「破天荒な兄ちゃん」って感じでした。
まあともあれ、その夜を境に僕はバカラプロの仲間入りをしたわけです。
シーカーズベットを完全に体得するまでバカラ屋に行くことは禁止と言われたので、僕はその日から死ぬ気で練習しました。
バカラ屋で使ってるトランプと全く同じものを東急ハンズで50デック買い揃え、風呂場にまでトランプを持ち込んで練習したものです。
しかしここで経験が生きました!
僕、マジシャンになることを本気で目指したことがあるほどマジックが大好きな男です。トランプは子供の頃から嫌というほど触ってます。
トランプを使った練習はかなり得意なんです!
H氏が体得するのに2ヶ月程度かかったものを、僕はたったの一週間でマスターできました。
ていうか、思ってたより簡単でしたw
後に、僕は誰よりシーカーズベットを上手く使いこなすほどに成長します。
むしろ、オリジナルではカバーしきれなかった部分もカバーしてしまうとんでもない手法すら自分で編み出しました。
亜種というやつですね。
僕が亜種を使うようになると、H氏が逆に僕を手放せなくなりました。
が、それはまた後日談ということにしましょう。
今回は、僕がプロ集団に入ることになった経緯と、シーカーズベットを体得するまでの話をしました。
読み手には若干つまらない部分だったかもしれませんが、ここに出てきた人物たちは後にもの凄く意外な形で絡み合っていきます。僕のストーリーを話す上で切り離せない人たちです。
次回は、さらにもう1人だけ。どうしても紹介しておかなければならない人物の話をします。それから、シーカーズベットを体得した僕とH氏のバカラ屋での立ち回り。プロ集団の絶対的な決め事。対立することになった僕とH氏の話などをしたいと思います。
それでは、また!